東京地方裁判所 昭和45年(ワ)12318号 判決
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〔判決理由〕<証拠>によれば、被害者川瀬キミ子(大正九年二月二日生)は、本件自動車の保有者川瀬茂雄の妻であつて、原告川瀬敏雄、川瀬雅明、川瀬芳江の母であること、被害者青木匡代(昭和一〇年一〇月二〇日生)は、本件自動車の運転者青木一夫の妻であつて、原告青木克之の母であることが認められる。
被告は、運行供用者もしくは運転者の同居の親族は自賠法三条にいう他人にあたらないというが、自賠法上これらの者を同法による保護の対象から除外する旨の規定を設けていない以上そのように解すべき理由がない(最高裁判所昭和四四年(オ)第七二二号、昭和四七年五月三〇日第三小法廷判決参照)。そして、証人川瀬茂雄の証言によれば、本件自動車は、自動車会社の実験員として勤務する茂雄がその通勤用に購入し使用していたものであつて、事故当日は茂雄の家族と青木一夫の家族とが共にドライブかたがた多摩動物園に遊びに行こうとし、茂雄と一夫が交代で運転していた際に起つたものであること、茂雄の妻亡キミ子は、和裁の内職をし、その収入のうちから本件自動車のガソリン代を支出することがあるが、それは単に家計処理の一方法にすぎず、自動車の運転技術も有せず、時々夫茂雄運転の本件自動車に同乗してドライブ等を楽しむことがあるにすぎないことが認められる。そうすると、この程度の利用形態では近親者以外の者が好意で同乗する場合と異ならず、本件自動車の運行支配・運行利益が帰属するとまでは言えないので亡キミ子をもつて本件自動車の運行供用者ということはできない。まして、事故当日に限り本件自動車に同乗した者にすぎない亡匡代を本件自動車の運行供用者ということができないことはいうまでもない。自動車の運行供用者であるかどうかは、原則として自動車の利用状況を長期的継続的に考察して、当該自動車の支配権限が何人に帰属しているかを判断して決定する必要があるのであつて、事故の際の自動車の運行目的が偶々被害者の需要を充たすためであつたかはこれを左右する事情とはならない。よつて、この点に関する被告の見解は採用できない。
(坂井芳雄 新城雅夫 佐々木一彦)